アップグレードツールの実行

アップグレードツールは、コアおよびインストールされているモジュールをアップグレードするに当たって、最も簡単な方法を提供します。ファイルまたはツールのコマンドラインインターフェイスから、アップグレードを設定できます。アップグレードツールを使用すると、コアとすべてのモジュールをまとめて、または個別にアップグレードできます。

Liferay DXP 7.1バンドルにはアップグレードツールが含まれています。手動でLiferay DXP 7.1をインストールした場合は、アップグレードツールを個別にダウンロードできます。

アップグレードツールを実行する前に、ツールの使用方法、およびコアアップグレードとコア以外のモジュールアップグレードの設定方法を確認してください。

まず最初に、ツールの使用方法を説明します。

アップグレードツールの使用法

db_upgrade.shスクリプト(Windows上ではdb_upgrade.bat)がアップグレードツールを起動します。これは、[Liferay Home]/tools/portal-tools-db-upgrade-clientフォルダ内にあります。

このコマンドは、アップグレードツールの使用法を表示します。

db_upgrade.sh --help

コアのみをアップグレードするには、com.liferay.portal.upgrade.internal.configuration.ReleaseManagerConfiguration.configというファイルと下記の内容と合わせて、[Liferay Home]/osgi/configsフォルダに追加します 。

autoUpgrade="false"

この設定は自動的なモジュールアップグレードを防ぎますが、コアアップグレードを終えた後にアップグレードツールがアップグレード中のモジュールのためにGogoシェルを開いてしまう原因になります。

ツールのデフォルトのJavaパラメータは、次のとおりです。

-Dfile.encoding=UTF8 -Duser.country=US -Duser.language=en -Duser.timezone=GMT -Xmx2048m

この-jオプションを使用すると、JVMパラメータを上書きできます。たとえば、これらのオプションはJVMメモリを10GBに設定します。このメモリ量は、このプロセスタイプで最初に設定する量として適しています。

db_upgrade.sh -j "-Dfile.encoding=UTF8 -Duser.country=US -Duser.language=en -Duser.timezone=GMT -Xmx10240m"

この-lオプションを使用すると、ツールのログファイル名を指定できます。

db_upgrade.sh -l "output.log"

アップグレードツールのコマンドラインオプションは次のとおりです。

–helpまたは**-h**:ツールのヘルプメッセージを表示します。

–jvm-optsまたは**-j** +[arg]:アップグレードプロセスのJVMオプションを設定します。

–log-fileまたは**-l** + [arg]:ツールのログファイル名を指定します。デフォルトの名前はupgrade.logです。

–shellまたは**-s**:アップグレードプロセスが完了したら、自動的にGogoシェルに接続します。

アップグレードを開始する前に、コア以外のモジュールのアップグレードを実行する方法を決定しておいてください。

コア以外のモジュールアップグレードの設定

アップグレードツールを設定することで、インストールされているすべてのモジュールを自動的にアップグレードしたり、手動でモジュールのアップグレードを実行するために(コアアップグレードの完了後に)Gogoシェルを開くようにしたりできます。

アップグレードツールのautoUpgradeプロパティがtrue(デフォルト設定)に設定されている場合は、インストールされているすべてのモジュールのアップグレードプロセスも実行されます。

com.liferay.portal.upgrade.internal.configuration.ReleaseManagerConfiguration.configというファイルにautoUpgrade="false"を設定して、そのファイルを[Liferay Home]/osgi/configsフォルダにコピーすると、コアのアップグレード後にアップグレードツールによってGogoシェルが開きます。Gogoシェルでは、モジュールのアップグレードを管理できます。

コア以外のモジュールをアップグレードする方法は以上です。次に、コアアップグレードの設定オプションについて説明します。

コアアップグレードの設定

コアアップグレードでは設定が必要です。実行時にコマンドラインインターフェースを介して設定したり、[Liferay Home]/tools/portal-tools-db-upgrade-client/にある以下のファイルで事前に設定することができます。

  • app-server.properties:サーバーの場所とライブラリを指定します。
  • portal-upgrade-database.properties:データベース接続を設定します。
  • portal-upgrade-ext.properties:アップグレードに必要な残りのポータルプロパティを設定します。現在使用しているポータルプロパティ(データベースのプロパティを除く)をこのファイルにコピーすることをお勧めします。現在のプロパティをコピーする前に、Liferay DXP 7.1のポータルプロパティを更新したことを確認してください 。

次に、各ファイルのプロパティについて説明します。

app-server.propertiesの設定

以下の情報を指定して、Liferay DXP 7.1がインストールされているアプリケーションサーバーを設定します。

dir: アプリケーションサーバーディレクトリの絶対パスです。(必須)

extra.lib.dirs: クラスパスに追加するバイナリまたはリソースを含む、追加ディレクトリのカンマ区切りのリストです。すべての絶対パス、またはすべてのdirの相対パスを使用してください。(必須)

global.lib.dir: アプリケーションサーバーのグローバルライブラリディレクトリです。絶対パスまたはdirの相対パスを使用してください。(必須)

portal.dir: ご利用のアプリサーバにインストールされているポータルのディレクトリです。絶対パスまたはdirの相対パスを使用してください。(必須)

**server.detector.server.id:**サポートされているアプリケーションサーバーのIDです。 (必須)以下がIDです。

  • jboss
  • jonas
  • resin
  • tomcat
  • weblogic
  • websphere
  • wildfly

相対パスはUnixスタイルのフォーマットを使用しなければなりません。たとえば、次のプロパティはWindows用で、相対パスを使用しています。

dir=D:\
extra.lib.dirs=Liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/bin
global.lib.dir=Liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/lib
portal.dir=Liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/webapps/ROOT
server.detector.server.id=tomcat

たとえば、これらのプロパティはUnix用であり、すべての絶対パスを使用しています。

dir=/
extra.lib.dirs=/home/user/liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/bin
global.lib.dir=/home/user/liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/lib
portal.dir=/home/user/liferay/liferay-portal-master/tomcat-9.0.10/webapps/ROOT
server.detector.server.id=tomcat

portal-upgrade-database.propertiesの設定

アップグレードするデータベースを設定するために、以下の情報を指定します。 これらのプロパティ は、portal-ext.propertiesファイルで使用するJDBCポータルのプロパティと完全に対応しています。

jdbc.default.driverClassName (必須)

jdbc.default.url (必須)

jdbc.default.username (必須)

jdbc.default.password (必須)

portal-upgrade-ext.propertiesの設定

アップグレードそのものを設定するには、以下の情報を指定します。

liferay.home:Liferayのホームフォルダ(必須)

**hibernate.jdbc.batch_size:**パフォーマンスを向上させるために使用されるJDBCバッチサイズです。デフォルトでは、250に設定されています。(オプション)

アップグレードの設定例

下記はアップグレードツールのコマンドラインインターフェイスとの対話の例です。

Please enter your application server (tomcat):
tomcat
Please enter your application server directory (../../tomcat-8.0.32):

Please enter your extra library directories (../../tomcat-8.0.32/bin):

Please enter your global library directory (../../tomcat-8.0.32/lib):

Please enter your portal directory (../../tomcat-8.0.32/webapps/ROOT):

[ db2 mariadb mysql oracle postgresql sqlserver sybase ]
Please enter your database (mysql):
mariadb
Please enter your database host (localhost):

(etc.)

コマンドラインインタフェースは、入力に基づいて設定ファイルを作成します。 ただし、すべてを事前に設定したい場合は、この情報を設定ファイルに入れておくことをお勧めします。

以下は、カスタマイズして[Liferay Home]/tools/portal-tools-db-upgrade-client/にコピーできるアップグレード設定ファイルの例です。

  • app-server.properties:

     dir=../../tomcat-8.0.32
     global.lib.dir=/lib
     portal.dir=/webapps/ROOT
     server.detector.server.id=tomcat
     extra.lib.dirs=/bin
    
  • portal-upgrade-database.properties:

     jdbc.default.url=jdbc:mysql://lportal62?characterEncoding=UTF-8&dontTrackOpenResources=true&holdResultsOpenOverStatementClose=true&useFastDateParsing=false&useUnicode=true
     jdbc.default.driverClassName=com.mysql.jdbc.Driver
     jdbc.default.username=root
     jdbc.default.password=
    
  • portal-upgrade-ext.properties:

     liferay.home=/home/user/servers/liferay7
     module.framework.base.dir=/home/user/servers/liferay7/osgi
    

次に、コアアップグレードを開始する手順について説明します。

コアアップグレードの実行と管理

アップグレードツールの使用法の説明に従って、アップグレードツールを起動します 。 コアアップグレードのステージは次のとおりです。

  1. アップグレードパッチレベルを表示する

  2. コアアップグレードプロセスを実行する

  3. コアベリファイアを実行する

アップグレードツールのログファイル(デフォルトのファイルはupgrade.log)でアップグレードを監視します 。コアアップグレードプロセスが失敗した場合は、失敗を分析して解決します。Liferay DXP 7.1(またはそれ以降)のコアアップグレード手順が失敗した場合は、アップグレードツールを実行すると、その手順から再開されます。

コア以外のモジュールをアップグレードするようにアップグレードツールを設定した場合 、ツールはGogoシェルを開き、該当するモジュールのアップグレードを開始します。Gogoシェルを使用すると、モジュールのアップグレード、モジュールのアップグレードステータスの確認、アップグレードの確認、およびモジュールのアップグレードの再開を行うことができます。次は、Gogoシェルコマンドを使用して、Liferay DXPアップグレードを完了する方法について説明します。

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